ラジオは人を癒す
平日の昼間、川の辺でたった一人、大音量を出してラジオを聞いている女性がいた。(―1ヶ月程前)
ピンクのシャツに、オーバーオールのジーンズ、みつ編みのおさげを左右に垂らしている。
10代の少女のような格好をしているが、少なく見積もっても40代。50代かもしれない。
彼女は“淋しい”のかもしれない。「誰か私に注目して!」と叫んでいるように思えた。
そして“ラジオ”から流れる音でその孤独を必死に埋めようとしているようにも見えた・・・。
「テレビは『みなさん』、ラジオは『あなた』に語りかける」と言われたことがある。10年位前にラジオの構成作家をしていた時だ。ラジオ番組の制作に長年携わってきたあるベテランの方からの助言だった。しかし、その頃、ぼくはラジオの台本に「あなた」と書いても“心を込める”ことはできなかった。頭ではわかっていても心底からその意味を分かっていなかったのだ。
今、ラジオの台本を書いていないし、ラジオ番組をそんなに聞かないけれど、その言葉が少し分かるようになった気がする。
パーソナリティーが「あなた」と語りかける言葉、そして「あなた」のために流す音楽が、人の心の空虚を少しでも埋め、孤独をなぐさめ、不安をやわらげ、心を癒す。ラジオにはきっとそんな力がたとえささやかにしてもあるのだ。
お客さんの多くをテレビに奪われ「みなさん」が聞かなくなった中で、こつこつと「あなた」に語りかけてきたからこそ、今ラジオはその力を発揮しはじめたのかもしれない。
★★情報キビダンゴ★★
朝日新聞5/9朝刊“深夜ラジオ『かつて若者』に人気”の記事によると、現在シニア向けのNHK「ラジオ深夜便」を一晩に5分以上聞いている人は220万人になるという。ニッポン放送の「オールナイト・エバーグリーン」はシニア層が青春時代に聴いたポップスやロックなど音楽中心の編成にしている。ラジオ局は「深夜放送の洗礼を受けた人たちが戻ってきた」「(50代、60代のシニアたちが)眠れない夜にやすらぎを求めている」と言っているそうだ。
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■「コラムDEキビダンゴ!」 http://plaza.rakuten.co.jp/momofugaku/(画面左側、リンクの「もう1人のモモタロウ」をクリック)に「ニートや引きこもりは甘えか?」という記事も書きましたので、興味のある方はぜひお立ち寄りください。
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