親の愛に飢えた子と愛に抱かれた子
愛の腕に抱かれたことがある人は
落ちぶれて惨めに果てることはない。
知らない土地でひとりで死んでも
愛人の唇に触れて感じた
ふるい浄福がまた甦ってき
死の床でさえなお 彼女を自分のものと感じる。
T・シュトルム、藤原定訳
「愛の腕に抱かれたことがある人は」
この詩は、恋人との愛だけを詩っているように思えない。
親の子への愛をどうしても想ってしまう。
親の愛に包まれて育った人は、
きっと、いつまでも幸せである。
親がとうの昔に亡くなった、自らの死の床でさえ、
親の懐に抱かれていられる。
ところが、子どもの頃、親の愛を存分に
受けられなかった人は、
死ぬ間際でさえ、愛に飢えて、
惨めな気持ちで死んでいくのかもしれない。
その飢えを補ってくれる愛を
見つけられていれば別だが・・・。
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