男の沽券
「それは男の沽券(こけん)にかかわる問題だ」
などというと、いまの女性たちは
「そんなことばかり気にして」
とある意味、その男性を見下げた、馬鹿にした
怒りをこめた対応をする人が多いでしょう。
「沽券に関わる」とは、そもそも男性が
多く使ってきた言葉でしょうが、
現在では使われているところをあまり耳にしません。
死語へと追いやられつつあります。
そもそも、男が沽券(こけん)を捨てるという
ことが、どれだけ大変なことか。
男が沽券を捨てるということは
手放しで喜んでいいことなのかどうなのか。
沽券は人間の奥底で存在の誇りにも
つながっている場合もあって、
それを引っこ抜くと「命」まで
引張ってきてしまうことがあります。
たとえそれがどんなに浅薄でちっぽけで
頼りないものであることが
事実だとしても
ある人にとっては
自他に対して
この世界で少なくとも死んではいないんだぞと
自己の存在をむすびつける
アイデンティティーであることに
変わりはないのです。
現代に多発する中高年男性の自殺の多くは
そうした女性の思いやりのなさから
生まれて来ていると考えています。
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