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May 08, 2008

天理か人欲か?天則か偏見か?

  

自分に正直に生きたい

素直に生きたいと

思ってきた・・・。

しかし、正直に生きるのは

難しい。

それは自分の周囲の人や

社会との摩擦が生じやすい

からということだけではなく、

そもそも、

自分の正直な気持は

どれであるのか、

どこにあるのかを見極める

ことが非常に困難であると

すくなくとも自分には

感じられるからである、

ただこうしたい、

ああしたいという欲望は、

自分の正直な気持とは

考えない。

それはそのときの気分に

よってもクルクル変わる

あてにならないものである。

どうしても、

本心(人間の根本にあって、

“空(くう)―いのち”とつながった心)

より素直に発せられた

変わらぬ

ものでなくてはならない。

                                    

だから

20代のころより

みずからの針路について

考えるとき、

この希望は本心(人間の根本にあって、

“いのち”とつながった心)

から来ているか、

欲望からきているか、

ということを考えてきた。

およそ400年前に書かれた

中国の古典『呻吟語』では、

それでも足りず、

天理天則に基づいているか、

偏見に基づくものなのかを

考えろという(下記を参照)。

自分はそこまでは、

意識して考えてこなかった

ように思う。

その後の数々の

“人生の痛手”は

そこまで客観性をもって、

無私に行き先を決めて

来なかったことよるためか・・・(苦笑)。

たしかに、

中村天風の哲学においても、

天風誦句集で

「一切の希望 一切の目的は

厳粛に正しいものをもって、

標準として定めよう」

とある。

漢学者の白川静は、

文化勲章を授与されて後、

業績に至った秘訣を記者に

訪ねられて、

中国の古人の言葉を引いて

「志あるを要す」

(志、理想、夢…をもつこと)

「恒あるを要す」

(しょっちゅうやること)

とともに、

「識あるを要す」

つまり、

見識があることが大切だと

述べた。

みずからの志、目的が、

天理に基づいているか、

天則によっているかと、

点検するとともに、

日頃から、

道を学び、

真理を吸収することによって、

見識を高めていくことが

大切な所以(ゆえん)であろう。

                                 

テレビドラマや歌、マンガやアニメでも、

「自分に正直に生きる」とは

現代における一つの主要な価値観のように

なっているようだが、

それも、ほんとうはそう簡単な

ものではないのだろう。

                                              

                                  

自分を省みて、

最近、つくづく、思う。

「正直ってむずかしい」。

でもだからこそ、

「正直はすごく大切だ」と・・・。

                                        

                                        

以下、荒木見悟訳注

『呻吟語』より

学術は、心に媿(は)じず、

志に悪なきを以て第一と為(な)す。

也(また)、這(こ)の心志は

是(こ)れ天理なるか、是れ人欲なるかを

点検せんことを要す。

便(すなわ)ち是れ天理なるも、

也、是れ辺見(へんけん)なるか、

是れ天則なるかを点検せんことを要す。

〔訳文〕

学術というものは、

単に知識を集積すればよいのではなく、

心にかえりみて恥じることがなく、

志に一点の邪念もないのが、

第一の肝要事である。

さらにこの心と志とは、

天理にもとづいているか、

人欲にもとづいているかを

点検しなければならぬ。

たとえ天理であっても、

偏見によっているか、

天然の法則によっているかを

点検しなければならぬ。

〔付記〕

学術とは、

心術をみがき上げるものである。

ところが、学術といえば、

人はすぐに豊富な知識をかき集め、

それを見せびらかすことだと

考えがちであるが、

もしその目的が栄達をはかり、

術策を弄するにあるとするなら、

当初から俯行天地に恥じない

心がまえを持つべきであり、

そこにいささかの人欲も

混入してはならない。

(中略)

そこに天理という

名目のもとにおける

真偽邪正の判別をする必要が

あるのである。

                                        

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