冷酷 2
妹の結婚式のとき、
とめどなく涙が流れたのは
今思えば、
ぼくの魂の悲鳴だったに
違いない。
そのとき、
いまだに白いもやの
只中に一人、
ポツリとしていた。
ぼくが泣いているのを見て、
母は…、
これまでこの母の言葉を
見つめるのが怖くて
無意識に
目をそらしてきたのだが…、
母は、
「みっともないじゃない」
とたしなめた。
ぼくの心を知ろうとは
これっぽっちも
しなかった。
ずっと、一番、冷酷だったのは
母だったのかもしれない。
四十も半ばに近づいた今、
ようやく気づく。
母はもう亡くなって
9年経っている。
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