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December 10, 2008

知の巨人、落つ~今=ここ、日本人への視点

                                         

12月5日、評論家の加藤周一さんが

ご逝去された。

朝日新聞連載の「夕陽妄語」が

ここしばらく見られなかったが、

こんなにも早く、こういう事になろうとは。

                                        

この春、小田実さんを偲ぶ「九条の会」に

初めて参加したのも、

会の理念への共感もさることながら、

加藤周一さんを初めとした

当代一流の知識人の講演を生で聞きたいというのが

いつわらざる心境であった。

                                         

といっても、

学生時代、加藤さんの

読書法に関する本を読んだくらいで、

正直ほとんど著作を読んでおらず、

ただ加藤周一という名前と

評論家という肩書きと

その読書法が、

常に、自分の頭の中にあって、

あこがれと同時に

ときには、勝手に作り上げた

加藤周一像に

反発したりして、

よくも悪くも、

じつに浅はかな関わり方をしてきた。

                                        

それが、

少し敷居の高かった

「九条の会」にあえて参加して、

講演を聴くのを欲するまでになったのは、

購読している朝日新聞の月1回の

連載「夕陽妄語」であった。

                                       

読んで圧倒された・・・。

                                      

自分は何を学んできたのだろう。

愕然とした・・・。

                                       

自分は加藤周一の、

そして評論家という仕事の何も

知らなかったのだ

ということに、

今更ながら気づかされた。

                                       

そして、これから代表作、

『日本文学史序説』など、

その思想の深みへと

少しでも入り込みたいと考えていた

ところだった。

                                       

それが、今回の訃報。

                                      

でも、作品(この場合、著作)を残した人は

地上に肉体は消えてなくなっても、

その中に生きていられる。

亡くなられたこれからでも、

じゅうぶん自分にとっては、

加藤周一が生きている

より身近な存在となりうるのかもしれない。

                                      

ところで翌日(12月6日)の朝日新聞朝刊には

加藤さんに関して

こんなことが書かれていた。

                                        

07年に刊行された

「日本文化における時間と空間」

は加藤さんの最後の書き下ろし単著となった。

これまでの知見のすべてをつぎこみ、

この国の文化の特色として取り出されたのは、

「今=ここ」を重視する部分主義だった。

それは、決して悪いことばかりではない。

柔軟な現実主義に通じ、

明治の近代化や戦後の経済復興を生んだ。

しかし、それは内向きな思考につながり

世界全体を見渡すことが苦手で、

例えば、無謀な戦争の推進力ともなった。

                                       

                                                              

日本文化の特色として

他のことは差し置いて、

取り上げた「今=ここ」。

加藤氏は、そればかりではいけない

と著作で書かれているのだろうか。

                                        

「日本の『外』からの眼と、

『内』からの眼の双方」(同新聞より)を

そなえた巨人の視点、

到底すべては理解しがたくとも、

浅はかな自分を彫り下げるためには

ぜひとも学ばねばならない人であろう。

                                                                                  

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