僕の肺を風が吹きすさぶとき・・・
木々の緑が新しい光を放ち始め、風をきらめかせる。あまりにも見ている者との距離が遠すぎて傍観という言葉しかあてはまらない。なにゆえ風は風なんだろう。なにゆえ光は光なんだろう。なにゆえ世界と自分との距離はこんなにも遠いのだろう・・・。
今まで世界としてきたものが単なる虚構で、外の色と光とだけが真実であるとしたら、人間の存在はその存在ゆえにあまりにも無意味過ぎる・・・
夜、アカにまみれた緑色のカーテンで外と内とを隔てる。とその時、突如として木々が発する風のざわめきこそがわが心であると気づく。それまでこんなにも離れていた眼前の世界が、わが心の空洞とこんなにも通じていたなんて・・・。
僕は今、肺胞を吹きすさぶ風を感じながら、世界の空しさをかみ締めている。
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