« March 2010 | Main | November 2010 »

April 30, 2010

僕の肺を風が吹きすさぶとき・・・

木々の緑が新しい光を放ち始め、風をきらめかせる。あまりにも見ている者との距離が遠すぎて傍観という言葉しかあてはまらない。なにゆえ風は風なんだろう。なにゆえ光は光なんだろう。なにゆえ世界と自分との距離はこんなにも遠いのだろう・・・。

今まで世界としてきたものが単なる虚構で、外の色と光とだけが真実であるとしたら、人間の存在はその存在ゆえにあまりにも無意味過ぎる・・・

夜、アカにまみれた緑色のカーテンで外と内とを隔てる。とその時、突如として木々が発する風のざわめきこそがわが心であると気づく。それまでこんなにも離れていた眼前の世界が、わが心の空洞とこんなにも通じていたなんて・・・。

僕は今、肺胞を吹きすさぶ風を感じながら、世界の空しさをかみ締めている。

| | Comments (0)

静けさのない寂しさ

雑木林も野原も、畑も、柳瀬川も越えて、

関越を滑るタイヤの音が深夜1時半をおおう。

その音響は、宇宙と、床の中で眠りに落ちている

自分たちとを遮断していることに誰も気づいていない。

僕たちはいつから静寂を失ってしまったのだろうか。

哀しみさえもろくに胸に沁みることのない喧騒の日々。

市の保存樹林の葉陰で、羽毛の中に身を縮めて眠る

雀たちのようにただたえることしか

できないのであろうか。

こうしている間にCPUから絶えず機械音が流れている。

川のせせらぎには光があるが、

パソコン、携帯、水道、冷蔵庫、・・・

部屋の中の音にはどれひとつとっても

“いのち”が見つけられない。

窓を開けると、冷気とともに高速や国道の

アスファルトからはがれるゴムタイヤの

感情のない音がまた差し込んできた・・・。

                                        

静けさのない寂しさに慣れている自分を

今日はじめて知った・・・。

| | Comments (0)

« March 2010 | Main | November 2010 »